税金の仕組みは複雑そうに見えて、実はルールを理解すれば節税にもつながります。この記事では、私たちが日常的に支払っている「所得税」と「住民税」の基本的な決まり方について、わかりやすく解説します。
■ 所得税の決まり方
所得税は、1年間の所得に対して課される国税です。
その金額は以下の流れで決まります。
① 給与収入から「給与所得控除」を差し引く
フリーランスでいう「経費」にあたるのが、会社員の場合は「給与所得控除」。
これは、収入に応じて自動的に差し引かれる金額で、実際の課税対象となる「所得」を少なくする役割を果たします。
② さらに「所得控除」を引く
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 医療費控除 など
家族構成や生活状況に応じて適用できる控除があり、「課税所得」をさらに減らせます。
③ 「課税所得」に税率(5~45%)をかけて算出
所得税は累進課税制度。つまり、所得が増えるほど税率も上がっていく仕組みです。
課税所得(年間) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~195万円 | 5% | 0円 |
~330万円 | 10% | 97,500円 |
~695万円 | 20% | 427,500円 |
~900万円 | 23% | 636,000円 |
~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
~4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
④ 最後に「税額控除」で税額を直接減らす
- 住宅ローン控除
- 配当控除 など
これらは、課税所得を減らすのではなく税額そのものを減らす制度です。
■ 住民税の決まり方
住民税は、都道府県・市区町村に支払う地方税で、「所得割」と「均等割」から構成されています。
・所得割:課税所得の10%
所得税と同じく、「給与所得控除」「所得控除」を引いた後の**課税所得に対して一律10%**の税率がかかります。
・均等割:誰でも同額(原則5,000円)
自治体によって多少異なりますが、住んでいる人全員に一律で課される金額です。
※注意点:前年の所得が基準になる
所得税はその年の収入をもとに計算されますが、住民税は前年の所得に基づいて計算されます。
たとえば、社会人1年目(前年の所得がゼロ)の人には、住民税がほぼかかりません。
しかし2年目の6月からは、前年の所得に応じた住民税の支払いが始まります。
■ 節税のポイントは「控除」
所得税も住民税も、「控除」によって課税対象の所得を減らすことができます。
- 所得控除を活用すれば、課税所得が減り税負担が軽くなる
- 税額控除を使えば、税額を直接引き下げられる
ふるさと納税や医療費控除、保険料控除など、申請しなければ適用されないものもあるので、年末調整や確定申告の際にしっかり確認しましょう。
■ まとめ
所得税も住民税も、収入に応じて支払う金額が決まりますが、「控除の活用」や「税金のタイミングの違い」を知ることが大切です。
知識を持っていれば、必要以上の税金を払わずに済み、生活をもっと豊かにすることができます。